①相続人に対する『遺贈』は単独申請可能
今まで遺言に『相続させる』『遺贈させる』という文言には実務上大きな差がありました。『遺贈』させると記載されている場合は他の相続人との共同申請をしなければならず、協力が得られないと相続登記ができないことに…。ですが改正されました!相続人に対する遺贈は単独申請可能です!
【参考条文】
不登63条3項
遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。
※注意! 条文にあるとおり『所有権』だけです。
②法定相続分での登記後の所有権更正登記が単独申請可能
改正前は一度法定相続分で相続登記がされると、遺産分割に遡及効があるものの、法定相続登記自体は間違っていないというところから登記原因を『遺産分割』とする持分移転登記をすることになってました。
しかし、所有権更正によることができることになり、さらに単独申請可能になりました。
【参考通達】通達令和5年4月1日法改正に伴う不動産登記事務の取扱いに関する通達
法定相続分での相続登記(民法第900条及び第901条の規定により算定した相続分に応じてされた相続による所有権の移転の登記をいう。以下同じ。)がされている場合において、次に掲げる登記をするときは、所有権の更正の登記によることができるものとした上で、登記権利者が単独で申請することができるものとする。一遺産の分割の協議又は審判若しくは調停による所有権の取得に関する登記。
※これは相続人に対する遺贈、特定財産承継遺言についても可能です。
③買戻権の単独抹消が可能
契約の日から十年を経過したときは単独抹消ができます。
登記原因は『不動産登記法第69条の2の規定による抹消』
登記原因証明情報の添付書面:不要
申請人:権利者(申請人)甲
義務者 乙
※義務者は登記簿に載っている旧法人でOK。代表者などの記載は不要
※申請人は何を見ても載っていなかったのですが、法務局に照会して申請して無事完了しました。
【参考条文不登69条の2】
買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。
【参考通達】
不登法第69条の2の規定により登記権利者が単独でする買戻しの特約に関する登記の抹消の申請において、申請情報の内容とする登記原因は、「不動産登記法第69条の2の規定による抹消」とするものとし、登記原因の日付を要しない(不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和5年法務省令第6号))。
不登法第69条の2の規定により登記権利者が単独で買戻しの特約に関する登記の抹消を申請する場合には、登記原因証明情報を提供することを要しない(不登令7条3項1号)。